下肢静脈瘤は足の血管の病気です。
これらの症状は下肢静脈瘤に多く認められる症状です。他にも、足がむくむ原因となったり、足の痛みの原因となることもあります。
病気が進行すると、湿疹や潰瘍などの皮膚病を合併する場合があります。
人間の体には2種類の血管があります。
心臓から全身に酸素や栄養を運ぶ動脈と、
逆に二酸化炭素を多く含む血液を全身から心臓に戻す静脈です。
足の静脈は重力に逆らって足先から心臓に血液を送らなければなりません。
そのため、静脈の内側には逆流を防止する弁があります。
下肢静脈瘤はこの静脈の弁が壊れることによって起こる病気です。
弁が壊れてきちんと閉まらないために、下流の静脈に血液が溜まり、
静脈の壁が徐々に引き延ばされて、グネグネと曲がった状態になります。
静脈の弁が壊れる原因には、遺伝や妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。
下肢静脈瘤は見た目が悪くなるだけでなく、汚れた血液が足に溜まったり、
静脈の中の圧力が高くなることによる炎症によって様々な症状が起こります。
下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。
日本人では15歳以上の男女の43%、60歳以上では72%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあります。
疑わしい症状を認めた場合には、まずは専門の外来を受診することをお勧めします。
診断には下肢静脈エコー(超音波)検査を行います。
エコー検査は体への負担がなく、静脈の拡張の程度や逆流の有無など、的確に診断をすることができる検査です。
診断に至るまでに、注射などの検査も一切必要ありません。
下肢静脈瘤の治療には弾性ストッキング治療、硬化療法、ストリッピング手術、高周波治療(レーザー治療)、グルー治療の5つがあります
静脈瘤の進行状況や、静脈瘤の太さなど、患者さんの状態に合わせて、適切な治療を選択していきます。
傷をなるべく少なくしたい等の希望に合わせて、これらの治療を組み合わせることも可能です。
治療は全て日帰りで行うことができます。
ストリッピング手術、高周波治療も同様です。
軽度の下肢静脈瘤は、弾性ストッキングの着用だけで落ち着く場合もあります。また、血管内治療後には弾性ストッキングの着用が必須となりますので、当院では専任の弾性ストッキング・コンダクターがお一人お一人に合ったストッキング選びをサポートいたします。
硬化療法とは硬化剤を静脈瘤になった血管内に注射し、血管をつぶしてしまう治療です。高周波やレーザーなどの血管内焼灼術が登場する前には、一時静脈瘤治療の中心となったこともありました。現在では硬化療法のみでは再発率が高いため、高周波治療の補助的治療に用いられることが多いです。また、網状やクモの巣状静脈瘤などの細い静脈瘤の治療にも用いられています。